A-S

[京都] 2016年7月30日-31日京都芸術劇場 春秋座(京都造形大学内)
撮影|井上嘉和

チラシより

あらたにここで出会ったひとたちと、この作品をつくるということで、とてもたのしみにしているわけだけれど、だからこそあんまりひとりでつくろうとしないで、コンセプトだけをぼくは持っていくつもりで、あとは輪郭そのものを出会ったみんなと話しながら、そこでのエピソードを紡いで、それがゆくゆくは作品のなかのひとつの町として構築されていくその全体のことを『A-S』というタイトルでくくりたいし、均衡が保たれたものをつくりたいのではなくて、どこか歪であってもいいとおもっているから、ここでの作業がたぶんこれから先の自分にとって、重要なポイントになるのではないかと期待している。
 個人的なはなしではあるが、ぼくが女性に生まれたとしたならば、「さやか」と命名されていたらしい。このことはずっとあたためていたことで、ここではじめてそのことを語ろうとしている。それくらいの体力をつかって、この夏を過ごしていきたい。

2016.4.21 藤田貴大

当日パンフレットより

みんなとは、五月に出会って、そのあと毎週くらいなかんじで会って、七月からは毎日作業していた。けれどもすこし不思議なのは、まだ三ヶ月くらいなのかあってことだ。

いつもつくっている場所から、ひとから離れて、あたらしい場所と、ひとに出会ってつくる、という、じつのところ、なぜそんなことを敢えてするの? とおもわれてしまってもおかしくない、「この類」の企画は、やっぱりあぶなっかしい部分があるのは、なんとなくみんながわかっていることのようにおもう。

だって自分が把握できる範囲のなかで、自分のことをよく知ってくれているメンバーと、そういう意味で「凝ったもの」をつくることができたならば、作家の欲求というのは意外とシンプルなので、満たされるはずなのだから。

だけれど、ぼくは、その作業だけをすることに、あたらしいコトバは「ない」とおもっている。

みんなと出会って、あたらしいコトバに出会えたのはあきらかなことだ。とても豊かなものに出会えた。

「この類」の企画において、どういう風に、場所とひとと関わるのか。

演出家とは? みたいな定義がそもそもあるのかどうなのか、相変わらずわからないが、ひとつだけ云えるのは、演出家は俳優とだけ関わる仕事ではない。
関わるすべてのひとと、そして配置するすべてのものたちと、さらには場所と、そこでしかできない営みを見出していくのが演出家だと、現時点ではおもっている。

それが演出家、というか、演出なのだとすれば、今回のこのA-Sという、三ヶ月くらいの営みだったが、ここで出会ったひとたちとの作業では、あぶなっかしいとおもったことがない。
つくること、そもそものそこの部分に興味を注いで、諦めないひとたちがここにはいた。

まだ三ヶ月くらいなのかあ、と不思議だ。ずっといっしょにかんがえつづけてきたような気がする。

世界はきょうも、喪失に溢れているけれど、ひとはつくることができる。
14歳から81歳までのみんなと、ちいさな時間をかんがえながら、未来のことも同時に見つめていた。

そんな夏だった。

2016.7.26 藤田貴大

あらすじ

あやか(A)は、
たしかにこの町に存在していたはずなのだけれど、
みんなの記憶のなかにはもう存在しない。
さやか(S)は、
みんなの記憶のなかには存在しているのだけれど、
この町に彼女がいた形跡はどこにもない。
ふたり(A-S)をめぐる、アシンメトリー(asymmetry)の物語。

出演

飯田一葉
今井菜江
大石貴也
木下朝実
小林千晴
佐藤拓道
四方いず美
四方みもり
白鳥達也
髙田大雅
谷田真緒
辻本達也
中澤陽
中田貞代
西村瑞季
南風盛もえ
森史佳
安田晋

川崎ゆり子

プロジェクトメンバー

舞台監督助手
北野ひかり
福田香菜
映像補佐
志村茉那美
照明
香川由梨子
演出助手・衣装補佐
表ゆき
衣装補佐
杉山絵美
制作
石田絵里香
牛嶋木南
草場祐実
とくらゆきこ
南光望美
日比野加奈
堀江香那
八木澤ちひろ
言葉
谷川世奈
貴羽るき
加藤菜月
企画
谷田あや子

スタッフ

作・演出
藤田貴大
映像
召田実子
衣装
suzukitakayuki
舞台監督
森山香緒梨
宣伝美術
溝邊尚紀
制作
井出亮
根岸万依
竹宮華美
林香菜(合同会社マームとジプシー)

クレジット

協力
マームとジプシー
京都造形芸術大学 舞台芸術研究センター
主 催・企画制作
京都造形芸術大学 舞台芸術研究センター
助成
平成28年度 文化庁劇場・音楽堂等活性化事業
アーティスト・学生・地域の方で創る演劇公演
京都芸術センター制作支援事業