どこへ向かっているか分からない電車の、車内。いつも通りに乗り込んだ、乗車たちの追憶劇。

ドコカ遠クノ、ソレヨリ向コウ
或いは、泡ニナル、風景

2008年6月14日-16日PRUNUS HALL
(GALA Obirin 2008参加作品)

撮影|飯田浩一

チラシより

あの日、あの時、あの頃、ああしていれば、今、どうなっていたか、とか、思ったところで、どうしようもないし、ましては、あの人のこととか考えちゃうと、というか、考えきれない。切りがない。
とにかく、「あの」が付くことなんて、グヂグヂと考えたくない。
でも、生きてしまっているから、「あの」はどんどん増えていく。あの、あの、あの、と「あの」だらけ。ヘットホンを耳にあてて、電車に乗り込む。
鼓膜がひりひりするほどに音量を上げたら、どこか違った、いつも通りの風景が見えた。

いつも通りの風景なのか、あの、風景なのか。それが、知りたい。

藤田貴大

パンフレットより「どこか遠くの、それより向こう」

なんかあんまり、色んなことをたくさん覚えていられたり、たくさんの人たちと思い出作りとか、わかんないけど、そういうことができたり、なんかそういうい、スーパーなんちゃら、みたいな人間では僕はないから、なんだか僕の、つたないセンチメンタルな記憶を、今からここで見せたいなんて、そもそも、鼻っから、意気込んじゃいない。
ただ、興味があったのは、
何か偶然のタイミングで、
いつも通りが、なくなってしまう。
なくなってしまうその一瞬、
それ、瞬きとか、そんくらいのスピードで、
その一瞬の中に、何があったか。
何が、その一瞬に焼きついたのか。
それは記憶なのか、これから、なのか。
そのそれぞれの一瞬一瞬の切り取りを、繋ぎ合わせて、映写機で映し出す。
僕の興味は、そこでした。
いつも通りという日々のサークルの中を、
平凡にグルグル回っていて、
そこから遠くの、それより向こう、に、
行けるかどうかなんて、
本当に、それこそ、今は分からないことで。
今日も、人々は、いつも通り、
電車に乗り込み、どこかに行く。
あの風景、見ているのかな。

藤田貴大

出演

青柳いづみ  池口舞  伊野香織
田代尚子  成田亜佑美  松原由佳
横山真  吉田彩乃

スタッフ

作・演出
藤田貴大
舞台監督
亀井佑子 森下なる美
照明
明石伶子 吉成陽子
音響
花嶋弥生
宣伝美術
本橋若子
制作
緑川史絵 林香菜 持田喜恵
舞台写真
飯田浩一