ほろほろ

2008年3月1日−3日PRUNUS HALL

チラシより

母と、母が住んでいたアパートを探しに言った。
アパートは、もうなかった。
母は少しだけ黙り、そのあと、笑った。

22歳も終わりに差し掛かっているが、相変わらず、フラストレーションを抱くばかりだ。
今、世界が滅亡するとしても、僕はそれを抱えたまま、一人で悶々と最期を待つだけだろう。

母が黙って、笑うまでの、その一瞬に、僕は少し懐かしさと、少しだけ、新世界を感じた。

初春、記憶探しをひりひりと行いたい。

それで、ほろほろと、散り散りになりたい。

藤田貴大

チラシより 「息子へ」藤田豊久

息子へ
北海道伊達市 藤田豊久(父)

2004年3月19日、息子は北海道伊達紋別を東京に向けて出発した。それぞれの旅立ちを間近に控えた5人の友人が見送りに駆けつけてくれた。演劇に夢を求めての東京行きである。
あれから4年、決して楽しいことばかりではない状況の中で、さまざまな人達に出会い、新しい自分を発見しながら夢を追い続けているようだ。
いつか、「もう一度、新しい友人を連れて、観に来たいと思えるような演劇」を、息子は一生に一本作る事ができるのだろうか。
こんなことを考えながら、貴大が故郷で、10代から80代までの人が感激できるような作品を上演する日を、父は夢みている。

パンフレットより 「ほろほろ」

今まで、たくさんの人と別れてきて、きっと、これからも、別れるだろうと、
そう思って、この作品は出発した。
記憶を巡ってみても、思い出すのは、断片的な、
しかも、ぼやけて色褪せた、曖昧な風景で、
そんな、脳内の、それに、
フォーカスを合わせ、シャッタースピードも最速に上げて、
記憶の一瞬を、捉えようと試みた。
それが、どれだけビビットに映ったか、
もしくは、もう、記憶は、ぼやけたままなのか。記憶に、立ち止まってはいけないのか。
また、春が来たら、
それぞれ、新たな記憶を求めて、散り散りになる。
もう、
口の中じゃ、鉄の味で満ちていて、
匂いは、もう、夏を意識している。
街は、着実に、進んでいる。
さよなら、さよなら。
先に、行きます。

藤田貴大

出演

青柳いづみ  池口舞  石井亮介
伊野香織  小椋史子  熊木進
斎藤章子  田中美希恵  辻賢二
成田亜佑美  松原由佳  緑川史絵
召田実子  横山真  吉田彩乃  若林里枝

スタッフ

作・演出
藤田貴大
舞台監督
森山香緒梨 島田佳代子
照明
吉成陽子 芹川直子
音響
花嶋弥生
演出助手
亀井佑子
宣伝美術
本橋若子
制作
林香菜 前田安寿子 持田喜恵