Rと無重力のうねりで

2014年2月10日-16日のげシャーレ
2014年3月20日・22日いわき芸術文化交流館アリオス(I Play Fes2014参加)
撮影|橋本倫史

[横浜公演]パンフレットより

マームとジプシーをはじめたころのような、単純にすごく不安な気持ちと、
それに伴って、なにかあたらしいものが見つかるのではないか、と期待したりとか。
いや、なにもないのではないか、この先。なんて、こわくなったりとか。
なんだか、振り出しに戻ってしまった心地がするのだ、最近。
やはり信じることができるのは、自分だけ。自分の興味だけに向かって、
つくるしかないから。誰かに向けて、誰かのために、と。
最初っからそういう風に、まずはつくるのではない。そういう意味では、
今回のこの作品は、愚直なまでに純粋につくる作業ができている。
自分は、やはりオトコである。
オトコとして、やっぱり生きてきてしまった。オトコとしての、めんどくささ。
身体はやはり、オトコだ。女子のことは、わからない。
わからないものは、ずっとわからないのだから、わからないままにしておいて。
今回は、オトコとして、オトコのことを。
しかし、できているのだろうか?
オトコだから、とか。どうでもいいのではないか。
男優と、向かい合いたかった、とか。いやいや、いつだって向かい合ってきた。
じゃなくて、彼らの身体を通して、見つけたかったのは。
ありとあらゆる無重力について。
無重力を突き詰めていけばいくほど、ある限界が見えてくる。
その限界が知りたかった。そしてその限界は、ほんとうにぼくらにとっての限界か。
無重力を想像できているのか。地面に倒れるまでの、無重力のことを。
『Kと真夜中のほとりで』と『ハロースクール、バイバイ』のことを、よく思い出
しながらつくっている。あのころは、とにかく不安だった。そして、なにかあた
らしいものが見つかるのではないか、と。期待していた。
2014年2月7日  藤田貴大

[いわき公演]パンフレットより 「三年間に、つまっている。いくつもの、世界。」

2012年、1月。当時、高校生だったみんなといっしょにつくった作品「ハロースクール、バイバイ」を。いわき総合高校にて、発表した。

あのとき、17歳だった彼ら/彼女らも、今年で20歳だという。

2013年、2月。マームとジプシーが2011年の4月に発表した「あ、ストレンジャ―」という作品を。いわきアリオスにて、再演した。

客席にいた、彼ら/彼女らは18歳だった。舞台をみつめる、彼ら/彼女らの顔。まだ、目の奥に焼きついているみたいにして、おもいだすことができる。
春がおとずれて、高校を卒業して。町をはなれようとしている者もいれば、のこった者もいるという。いちど、はなれて。また町にもどった者もいると、きいている。

それで、現在。

2014年、3月。じぶんにとって、この三年間は、どんな三年間だったか。おもいだしながら。感触として、うすれていくもの。記憶として、とおくなっていくもの。

『Rと無重力のうねりで』には、当時、17歳だった、いわき総合高校に通っていた、長谷川洋子が出演している。彼女はあのころと、あんまり変わり映えしない顔で。まいにち、くだらないことで笑ったりして、同時に食べていた物を床に落としたりしている。あまりに、世に言う女子大生っぽくなくて。注意したいくらいである。

彼女をみていると、ふと、おもいだす。

教室で、お弁当食べて。そのあとにお菓子も食べて。そして、校庭のまわりを散歩していた日々のこと。校舎の柱の「ひび」について、説明してくれる者もいた。「海なんか、もうみたくない」という者もいた。みんな、もう、20歳か。

みんな、それぞれの世界に。

どこかで、また集まることがあれば、責任もって。生ビール、おごるよ。

3月13日 藤田貴大

出演

石井亮介  伊東茄那
尾野島慎太朗  中島広隆
波佐谷聡  長谷川洋子  吉田聡子

スタッフ

作・演出
藤田貴大
舞台監督
森山香緒梨
照明
南香織
音響
角田里枝
衣装
スズキタカユキ
(suzuki takayuki)
衣装助手
川村翠 、荻原綾
衣装協力
高橋愛(suzuki takayuki)
アシスタント/映像
召田実子
パンフレット
青柳いづみ
通訳
喜友名織江
英語資料翻訳
Helen Kenyon
制作
林香菜 植松侑子(海外担当)
舞台写真
橋本倫史

クレジット

助成
公益財団セゾン文化財団
共催
横浜にぎわい座
協力
大橋ボクシングジム
主催
マームとジプシー