〔東京〕 2011年10月14日-24日/こまばアゴラ劇場
撮影:飯田浩一
今年、僕、26歳になったんだけど、それなりに危機感とか感じちゃってて、いらんこと、かもしれないけど、いや、でも、感じちゃってて、だから、鬼気迫る、作品とかつくっちゃおうかな、とかも、たまに思ったりもするんだけど、でも結局、相変わらず、背伸びできずに、後ろ向きな、ぐずぐずしたモノ、つくっちゃうんだろうな、そう、なっちゃうんだろうな、30歳までのカウントダウン、具体的に始まった、気がする、2011年も、もう、半ば過ぎた。
部屋の中を意味もなく彷徨いている。あの街、のことを思い出しながら。彷徨く姿が、磨り硝子に、ぼんやり映る、真夜中。
北海道、伊達市、出身の僕は、脳裏にこびりついた、北海道、伊達市、での記憶、を、これまで、マームとジプシー、稼動させて、描いてきたつもりだった。でも僕は果たして、北海道、伊達市、及び、僕自身、の、僕だけしか知らない、あの街、での、記憶の細部に至るまでを、照らすこと、できていたのだろうか。どうなのか。どうなのか、は、もしかしたらそれこそ、僕自身、にしかわからないことで、だから、考えてみるんだが、どうやら足りない、そう、足りていないんだ、今のままの解像度では。足りていない、と、僕は、僕自身に突きつけられて、今、とても、孤独、なのだ。
記憶はどんどんと遠ざかっていく、忘れるようにできているのか、なんなのか、僕には、よくわからないが、あの街、が、僕からどんどんと遠ざかっていくのは、まざまざと、わかってしまう、抗えない忘却、を理解してしまう、幾つもの色々を、今まで、簡単に、記憶器官から、手放してきた、気がするんだ、だから、僕は、僕自身に対して、今、とても、孤独、なのだ。
今回、これらの、僕を、僕自身を、孤独にする、要因、に、真っ向から取り組み、孤独を解体しよう、とするのは、明らか、で。また、僕自身の、僕だけしか知らない、あの街、を取り戻すべく、解像度を、執拗に追求し、上げていくのは、同じく、明らか、で。今年、僕、26歳で。それなりに危機感とか感じちゃってて、いらんこと、かもしれないけど、いや、でも、感じちゃってて。というのは、年を追うごとに、感触薄れ、どんどんと遠ざかっていく、あの街、に、いつか、僕は、僕自身の痕跡すら、あそこに投影できなくなってしまうんじゃないか、と、考えてしまっているから。
それはマズい、単純にマズい、なので、僕は、蘇らそうと思う。舞台に、あの街、を。そうしなくちゃ、もう、僕は、何にも寄り添えそうにないし、僕自身を、見いだせそうにないのだ、あの街、に、あの頃、に、たとえ、もう、帰れないとしても、僕は、僕自身の、僕にしか知らない、あの街、を、蘇らせようと、思う。そのために、僕は、僕らは、不意打ち的に突如としてやってくる悪路をも、彷徨う気合いでいる、苦しくても、彷徨う、彷徨いながら、あの日、振り向いて、笑った、あの子、の残像を追い続けようと思う。
「マームとジプシー的、真夜中の考察と、季節の移り変わりとは無関係に、移行していく真夜中のイメージ。で、朝は訪れるのか、どうか、っていう。」
伊野香織 大石将弘(ままごと)
大島怜也(PLUSTIC PLASTICS)荻原 綾
尾野島慎太朗 川崎ゆり子 斎藤章子
坂口真由美 高橋ゆうこ 高山玲子
成田亜佑美 波佐谷 聡 萬洲通擴
召田実子 吉田聡子
作・演出/藤田貴大
舞台監督/森山香緒梨 加藤 唯
照明/吉成陽子 山岡茉友子
音響/角田里枝
舞台美術協力/細川浩伸
演出助手/佐藤蕗子 吉田彩乃
宣伝美術/本橋若子
制作/林 香菜
主催・企画制作/マームとジプシー
(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
技術協力/鈴木健介(アゴラ企画)
制作協力/齋藤 拓(アゴラ企画)
芸術監督/平田オリザ