mum&gypsy

Curtain Call

〔東京〕2025年58日- 5月11日/LUMINE0
〔神奈川〕2025年12月10日-12月11日/神奈川県立青少年センター スタジオHIKARI

撮影:井上佐由紀

▽ チラシ・パンフレットより(藤田貴大)

窓の無い劇場の内側は暗闇で、そこに明かりを灯さない限り、
誰かや何かの像は浮かび上がってこない。
劇場は音の無いように設計されてあるから、微かに誰かが話したり、
或いは何かが鳴った方へと、観客は耳を傾ける。
その光や、音、それ自体を劇場という空間にて、
まずは作っていくのがわたしの営みだと思っている。その光や、音、その中に在る人や物を、どう配置するか。そこでどういう物語が、どういうレベルで語られるか。
その人の造形を、じゃあメイクアップや衣裳でどうしていくか。
その人は、舞台上で言葉を声にしたり、身体を動かしたりするのだけど、開演前に何を食べて、何を思うか。光を、音を扱う人たちも、きちんと休めているか。
スケジュールを司って、具体的にまとめていく人たちともよく話せているか。
わたしに、この全ての悩みを相談できる人が周りにいるか。
どこかのセクションで妙なパワーバランスが生まれてはいないか。
それによって作品に変な影響を及ぼしてはいないか。
最近、上手く話せていない気がするのはどうしてか。
舞台上に置かれている物にはどれくらい予算を費やせるのか。物、ひとつひとつを愛せるか。物に、どういう角度で明かりを当てたのなら、どういうふうに影ができるか。
わたしが作る舞台には季節はあるか。時間は描かれているか。この全てのことが、
わたしにとっては演劇で、わたしにとっての営みで、もっと言うと生きることそれ自体である。ついこないだ、劇場にて場当たりをしている最中にふいに思ったのだった。
そうだ、演劇のことそれ自体を作品にしてみよう、と。
わたしにとっては、演劇が社会であり、世界である。
そしてわたしは、じつはどの担当でも無いような気がしている。
わたしは明かりを灯せないし、音を鳴らせない。言葉を声にもできない。
スケジュールや予算のことも、何度説明を受けても忘れてしまう。
しかしわたしはこの演劇という社会に、世界にいて、その様子を俯瞰したり、
少し離れた位置から、人が行ったり来たりするのを、観察している。
このわたしの視点、観点を舞台上にて展開させるとしたら。
わたしたちの開演時間へ向けての"ただの準備"を、そこに集まり立ち会う観客はただ眺めるだけなのだけれど、そのとき観客ひとりひとりのどの部分とわたしたちは接続できるだろうか。


2024.11.23 藤田貴大

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出演

青柳いづみ 石井亮介 渋谷采郁
成田亜佑美 長谷川七虹

スタッフ

作・演出/藤田貴大
舞台監督/原口佳子
照明/南香織
照明オペレーター/久津美太地
映像/宮田真理子
音響/池田野歩
音響補佐/栗原カオス


衣装/遠藤リカ
ヘアメイク/大宝みゆき

翻訳/清家愛
字幕オペレーター/髙宮梢


宣伝美術/名久井直子
宣伝写真/井上佐由紀


制作/林香菜 古閑詩織 飯塚なな子

協力 株式会社precog(横浜公演)急な坂スタジオ
助成/文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(公演創造活動)) |独立行政法人日本芸術文化振興会
主催・企画制作 合同会社マームとジプシー

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