〔埼玉〕 2016年9月16日-19日/彩の国さいたま芸術劇場 NINAGAWA STUDIO(大稽古場)
撮影:三田村 亮
こうしてまた、あのころの風景を、
からだをとおしてかんがえてみた。
記憶という映像、が焼きついているのは、眼裏ではなくて、
脳裏なのだということ。
しかし記憶とは、とても不確かなものである。
どういう手触りだったか。
思い出そうとしても思い出せない場所に、
かすかに焼きついている、記憶。
記憶のなかにしか、もう存在しない、いくつかの、からだ。
こうして生き残って、
きょうもまた、つくっている。
生き残っているから、つくることができる。
つくったものも、やがて記憶になる。
映像が、眼球のなかにヒカリとして、そのスピードで映りこむ。
そしてそのスピードのまま、脳まで届いて、映像は。
記憶になる。
やがて、
記憶になるものを、つくっている。
だけれど、
ぼくは、その、記憶になるまえの、脳に届くまえの、
ヒカリの部分をつくりたいのだとおもう。
その部分のみを。
一瞬で消えてしまう、一度きりの部分のみにこだわって。
ありとあらゆる喪失に。
記憶になるまえの一瞬を。
石井亮介 尾野島慎太朗 川崎ゆり子
中島広隆 成田亜佑美 波佐谷 聡 吉田聡子
山本達久
作・演出/藤田貴大
衣装/suzuki takayuki
音楽/山本逹久
照明/南 香織(合同会社LICHT-ER)
音響/金子伸也(彩の国さいたま芸術劇場)
映像/召田実子
舞台監督/森山香緒梨
制作/林 香菜 古閑詩織(マームとジプシー)
Other member/猿渡 遥 辻本達也
宣伝美術/柳沼博雅(GOAT)
協力/パシフィックアートセンター