mum&gypsy

cocoon

〔東京〕2015年627-712日/東京芸術劇場シアターイースト
〔新潟〕2015年718日/りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館 劇場
〔愛知〕2015年725-26日/穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース
〔沖縄〕2015年8月1-2日/ちゃたんニライセンター カナイホール
〔山口〕2015年8月8-9日/山口情報芸術センタースタジオA
〔神奈川〕2015年814日/杜のホールはしもと ホール

▽ チラシより(藤田貴大)

二年前。
終わらなかったことがあった。
あれからずっと、かんがえていた。
あの夏のこと。
それから、近い未来のこと。
また走らなくてはいけない。
海まで。
なにがあったって。
振り返らずに、走らなくてはいけない。
終わったって、終わらない。
このテーマは、終わらない。
それでも、走らなくてはいけない。
鉛色の夏に向かって。
現在として旅をする。


2015.4.20 藤田貴大

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▽ チラシより(原田郁子)

、くーーーーーーん   くーーーん  くーーん    、、、
70年後の   わたしたちは
彼女たちに   出逢う
オーロラのように   揺れながら
何層にも   織り重なる

いのち、のち、、いのち、、のち、、、いのち、、、、、の、ち、、、
いっせーのせ  って声  きこえる?
託された未来は   そう

誰かの歌う声、きこえる
2015年  
わたしも   走りぬけようとおもう
どこへ?
海へ?
わからない   けれど   つづく   ならば   できるだけ


原田郁子

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▽ チラシより(今日マチ子)

cocoon」を描いてからずいぶん時間が経った。物語は手を離れた。たぶんわたしのことなんて忘れられていくだろう。ずっと前に死んだ女の子たちみたいに。でも、距離ができるほど、そのぶんだけ、わたしは遠くに飛べるのだ。遠い昔のことを、ここに語ること、それを等距離の未来から眺めていようと思う。
 たくさんの人たちの、わたしのものがたり、になりますように。


今日マチ子

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▽ 飴屋法水さんが出演するにあたり

あたらしい『cocoon』をつくっていく日々のなかで、彼がこの舞台に存在しているのを想像するようになった。
つくっていきたい音のなかに彼がいた。
膨らみつづけたこの想像を実現したいとおもった。
それは彼とぼくとの作業がまだ終わっていないことを意味した。
cocoon』というプロジェクトが終わらなかったように、彼との作業も終わっていない。
cocoon』という作品のなかに漂う、なにか。
ときには残酷で、ときにはすべてを包むような、なにか。
女子たちが砂のうえを走りつづける。
それをいっしょに見つめたい。
空間、そのものへの取り組みついて、また彼とかんがえたい。
そう、つよくおもった。
二年前の自分では届かなかったところに、手を伸ばしたい。
cocoon』は手を伸ばしつづけなくちゃいけない。
そのためには、想像を止めちゃいけない。
ときどき、
あいかわらず、
立ち止まって、
振りかえってしまうけれど。
それでもやっぱり、
この先にある、あたらしい場所に向かって。
走らなくてはいけない。
現在、アタマのなかに浮かんだことはすべてカタチにしたい。
だって、現在ほどの未来はないのだから。

2015.5
.18
日づけは、19日の深夜


藤田貴大





未来は今日
僕よりずっと若い体たちの
紡ぐcocoonのなかに
体を置いてみることにした
体はたくさん消えてしまった
消えてしまうことを描こうとする体
消えないことを描こうとする体
上からでも遠くからでもなく
同じ目の高さで
彼らと並走することにした

飴屋法水

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▽ パンフレットより(藤田貴大)

終わらなかったことに取り組んでいる。
日々のなかでこのことが鳴りやまないでいた。
だからいま、またつくっている。
不安は。
ちゃくちゃくとふえていった。
そうとおくない、未来。
いや、または。
現在という、未来。
誰が、想像していただろう?
息がきこえてくる。
肌がこすれて、はじける。
つないだ手をはなさないでいる。
あらがえない時代を、走っていく。
無限のひとりひとりが溶けこんだ、おおきなひとつ。
その内側で。
脈打つもの。
なみのおと。しおのにおい。
このひとつが、奥底までとどいて。
ずっとつづいていってほしい。
途絶えることなく、想像は。
なにもかもを越えていってほしい。


2015.6.17 藤田貴大

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▽ パンフレットより(今日マチ子)

生きている人たちが戦争について語る。
たくさんの考え方がある。がやがやがやがや。
教室のように、とりとめのない騒がしさのなか、
黙りこくっていた死者が、思わず口を挟む瞬間がやってくるのではないか。
そんなふうに考えている。
死んでしまった女の子たちが、もういちどおしゃべりにやってくるように。
何度も何度も幕はあがる。
これからやってくる、女の子のために。


今日マチ子

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▽ パンフレット(原田郁子)

ここに居るすべての人の先代が、ひとり、ふたり、さんにん、よにん、、、数えきれないほど、生まれて、生きて、子をつくり、死んでいった。それは教科書やインターネットには載っていない、家族という集団のなかで紡がれてきた、それぞれの歴史。おじいちゃん、おばあちゃん、ひいおじいちゃん、ひいばあちゃんたちが、幾多の戦火をくぐりぬけ、必死で繋いでこなかったら、いまのじぶんは居ない。いのちの記録は、この身体にだけ残っている。そのことを思うと、cocoonという物語を生きる、彼女の、彼の、走り方、しぐさ、声のトーン、笑い方、歌声、息づかいが、、、愛おしくてたまらなくなる。70年前といまが結びつく先は、どこだろう。永いながい時間を想いながら。あたらしい夏を迎える。


原田郁子(クラムボン)

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出演

青柳いづみ 菊池明明
青葉市子 小川沙希 花衣 
川崎ゆり子
小泉まき 鴨志田ひよ 高田静流 中嶋祥子
難波 有 長谷川洋子 伴 朱音 吉田聡子 コロスケ
石井亮介 尾野島慎太朗 中島広隆 波佐谷 聡


飴屋法水

スタッフ

原作/今日マチ子「cocoon」(秋田書店) 
演出/藤田貴大
音楽/原田郁子


音/zAk
照明/富山貴之(東京/ 山口)
南 香織( 新潟/ 豊橋 沖縄 相模原)
映像/召田実子
衣裳/高橋 愛
 (suzuki takayuki)
ヘアメイク/金野睦美
アシスタント/小椋史子 西島亜紀
音響部/田鹿 充 岩谷啓士郎
衣装部/荻原 綾
演出部/加藤 唯 丸山賢一
舞台監督/森山香緒梨


制作進行/林 香菜(マームとジプシー)古閑詩織
鳥井由美子(
沖縄公演)

宣伝美術/川名 潤(PriGraphics)
絵/今日マチ子
特別協力/急な坂スタジオ


企画制作/合同会社マームとジプシー 東京芸術劇場
りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館 穂の国とよはし芸術劇場
山口情報芸術センター 杜のホールはしもと


主催/東京芸術劇場 りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館
穂の国とよはし芸術劇場 山口情報芸術センター
杜のホールはしもと


助成/一般社団法人全国モーターボート競走施行者協議会
一般財団法人地域創造
平成27 年度文化庁劇場・音楽堂等活性化事業

©2018 mum&gypsy