mum&gypsy

dusk dark dawn

〔東京〕2026年5月2-5月6/LUMINE0

撮影:井上佐由紀

▽ チラシより(藤田貴大)

ひとりの人の身体が、その記憶とともに、いかにして消えていくか。ここまで届いた声があるのと同時に、ここまで届かなかった声がある。現在(いま)の世界における言葉の在りかた、あるいは言葉の無さを、改めて身体に大きくフォーカスして、沈黙に光をあてるような表現をしてみたいとおもった。

2026.3.11 藤田貴大

close

▽ パンフレットより(藤田貴大)

空が白みはじめるころ、夢を見ていた。もう訪れることのない場所で、もう会うことのできないひとと話しをしていた。なにを話していたかは憶えていないのだけど、とにかくとりとめのない話しだった、その感触だけは残っている。

わたし、わたしたちは失い、失いつづけて、さいごはやはり骨になる。

過去を、過去に置き去りにして、いとも簡単に忘れ去って、未来にばかりに目を向けて、これから、なにを、どうするか、というふうに精一杯で、じゃあ現在という時間には、なにが漂い、流れているのかを見つめる余裕が無かったりする。でも、とはいっても、現在という時間は、あっという間に過ぎていく。たった現在この瞬間、現在は過去になる。現在を重ねて、未来へいく。うーんと、だから、やっぱり現在から、目は離せないのではないか。現在この瞬間、そこに立ちあがる身体に、声に、目を凝らす、耳を澄ます。それしかないのではないか。

しかし、それにしてもまったく未来は、ますます不安である。出口の見えないトンネルの、真っ暗闇の真んなかに、もうずっといるような心地だ。あたまのなかを、過去が絶え間なく過ぎることを止めたくない。声にならなかった声は膨大で、想像してもしきれない、及ばないとうなだれるけれど、それでも「どうして?」を止めたくない。現在に没頭する身体と、声、ともどもになって、現在という時間を過ごしたい。

ここ数年、この数か月、数週間、数日のあいだにも、わたし、わたしたちはたくさん失った。そして散らばった破片に宿る、あるいはそれに、微かに反射するなにか、ひかりめいたものを感じとりながら、この作品をつくっている。

2026.4.20 藤田貴大

close

出演

髙宮梢 仲宗根葵 中村未来 成田亜佑美

スタッフ

作・演出/藤田貴大


舞台監督/原口佳子
音響/池田野歩
音響オペレーター/栗原カオス
照明/南香織
照明オペレーター/中佐真梨香
映像/宮田真理子

衣装/若林佐知子
ヘアメイク/大宝みゆき

メインビジュアル/名久井直子
ビジュアル撮影・舞台写真/井上佐由紀
当日パンフレット/青柳いづみ 六月
劇中楽曲/石橋英子「the dream my bones dream」より
舞台監督助手/船津健太 石井亮介
制作・日本語字幕/古閑詩織 林香菜(マームとジプシー)崎山貴文
票券/飯塚なな子

助成
文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(公演創造活動))
独立行政法人日本芸術文化振興会

企画制作・主催 合同会社マームとジプシー

©2018 mum&gypsy