mum&gypsy

〔長野・大町〕北アルプス国際芸術祭参加

equal

〔長野・大町〕2024年10月12日-14日/爺ヶ岳スキー場
〔三重・津〕2024年10月26日・27日/三重県文化会館小ホール
〔愛知・豊橋〕2024年12月7日・8日/穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース

▽ 〔長野・大町〕パンフレットより(藤田貴大)

霧が稜線から降りてくる

いつかのだれかの声が
ここまで届いたから
いま、この時間が在る

言葉に宿る熱をかんじて
また季節が移りゆくのを

ここに佇んで
見つめている

2024.10.9 藤田貴大

close

▽ 〔三重・津〕パンフレットより(藤田貴大)

2024.2.8
失ったなにかや、だれかとは、もう再会できない。
話すことも、もうできない。
あなたがここにいたなら、この時間を、どう見て、どう聞くだろう。
あなたなら、いまという時間から、なにを受けとり、感じるだろう。
もう話すことも、できない。
わたしはあなたに、この世界に残された。
残され、生きたわたしたちがこの場所で再会できたから響いた音や、光を、あなたはもう見ない。聞かない。
でもわたしは、この場所で言葉を焚いてあなたを待ちたい。できない再会を、いつまでも待ちたいとおもう。
もう戻らないあなたが、いつでも戻ってきていい場所を、時間を、わたしは生きているかぎり、つくりたい。

2024.10.22
かわらないどころか、どんどんあらぬ方向へと舵を切っていく世界を目のまえに途方に暮れているけれど、どこに光をあてようかと今朝もやっぱり起きて、演劇をつくる場へ向かっている。気がつけば、未来という言葉を重ねて書いている自分がいる。未来と書くと、さいきんはますます暗澹たる気持ちが訪れる。しかし不思議と、未来と書いている。

わたしはどこへ向かっているのだろう。

失ったあなたが遠ざかっていけばいくほど、忘れないとつよくおもいたいわたしはこのさき、灯りをどこに、どう見いだしていこうか。はじまりのちいさな灯りは、劇場に在ることをわたしは知っている。ここで準備をして、だれかを待つ以外の方法を、わたしは知らない。ここに在ったちいさな灯りが、劇場の外へと運ばれていくのを想像している。

藤田貴大

close

▽ 〔愛知・豊橋〕パンフレットより(藤田貴大)

どこに目をやっても、あなたがいるようだよ。

18まで過ごした町に帰ってきて、わたしはあらためてそうおもう。

幾つもの四角い光の窓より内側には、ひとびとの日々が在る。しかし同時におもってしまうのは、終わってしまった日々も在るということ。かつて、この町にいたひとびとのこと。わたしはどうしても、そっちに引っ張られてしまう。

わたしもかつて、この町にいた。現在はもう、いない。町にいるか、いないかでいえば、わたしだって、もういないのだから、いなくなる方法はたとえちがったのだとしても、いないというレベルでは、いっしょだよ。おんなじだよ。

ただ、わたしは生きていて、歩いている。あなたとまたすこしでもいいから、声を、言葉を交わしてみたいなあ、だなんてかんがえながら。

どこに目をやっても、あなたがいるようだよ。

潮の匂いがする。波の音がする。遠くに浮かぶ舟の微かな灯り。貨物列車が走っていく。なかなか明けない夜を、いつまでもつづいていってしまいそうな夜を、ゆらゆらと歩いている。忘れようがない。忘れない、と。やはりおもう。

2024.11.22 藤田貴大

close

出演

荻原綾 尾野島慎太朗 成田亜佑美
波佐谷聡 召田実子

スタッフ

作・演出/藤田貴大

舞台監督/熊木進
照明/小谷中直美
音響/今里愛、たなかさき、日本有香(Suger Sound)
映像/宮田真理子 召田実子
衣装/若林佐知子(swllow)
靴/trippen
ヘアメイク/大宝みゆき


宣伝美術/名久井直子
パンフレット/六月、青柳いづみ

企画制作/合同会社マームとジプシー

〔三重・津〕
主催/
合同会社マームとジプシー
三重県文化会館[指定管理者:公益財団法人三重県文化振興事業団]
後援/レディオキューブFM三重
助成/
文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(全国キャラバン))
独立行政法人日本芸術文化振興会

〔愛知・豊橋〕
主催/公益財団法人豊橋文化振興財団
共催/豊橋市
助成/文化庁 劇場・音楽堂における子供舞台芸術鑑賞体験支援事業

©2018 mum&gypsy