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あ、ストレンジャー

〔福島〕2013年2月1-3日/いわきアリオス 小劇場
(I-Play Fes~演劇からの復興~いわき演劇まつり参加)
〔神奈川〕2013年2月9-12日/のげシャーレ
(TPAM2013 Direction Plus program参加)


 

撮影:飯田浩一

▽ チラシより(藤田貴大)

『あ、ストレンジャー』は、2011年の4月の頭に発表した作品で。ということは、311日から一カ月も経っていないときで。余震もまだ頻繁に、あったときに。清澄白河snacで、あの小さな空間で、上演したのだった。あの頃、いつも、街はどよんと灰色。だったような気がする。盛んに読んでいたのは『異邦人』だ。あの本が持つ体温みたいなものが、あの頃のぼくにはちょうどよかった。だから、ってことで全部は語りたくないけど。でも、だから、なんだけど。当たり前に。『あ、ストレンジャー』はマームとジプシーにとって、最重要作品である。 なので、だから。再びやるのである。当時、稽古があまりできなくて、45分しか上演できなかった。それでも、でも。ぼくらにとって大切なのだ。だから。再びやるのである。45分しかなかったそれをフルスケールにして。あれからマームとジプシーは、ぼくですら予想だにしていなかった方向に、とてつもなく早い速度で進んできた。その元凶はこの作品なのだ。マスターピースなのだ。この作品は、ぼくに、ぼくらに可能性を与え。そして、速度すら助長させた。ぼくは、ひたすらに期待


している。これを機会に、また。目指す表現、そのものを。この作品が、また。揺るがしてくれることを。祈るように。でも当事者として。期待しているのだ。


2012.11.26 藤田貴大

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▽ パンフレットより(藤田貴大)

「別れることが、できるかどうかの、葛藤、及び、決断のことについて。」


住んでいる街を、上空100メートルくらいから、見下ろしてみて。ひともなにもかも、ミニチュアサイズにしてみたくなるときってのは。無性にむしゃくしゃとしていて、どうにもこうにも上手くいかなかったり、無闇に当たって砕けたりしているときで。そんな気分に、部屋のなかにいて。どんどんと上空100メートルのところまで浮上して。見下ろしてみる。そうして落ち着いていく、ココロ。そうだ、そうか。自分を宥めることができるのは、他の誰でもなくて。自分なんだ。だから自分以外の、外側のことを。こうして空想のなか。見下ろしてみたくなるのだ。このことに気がついて、意識的に寄り添いだしたのは、もうずっと昔のことで。通学路を鬱々と歩いていた、あの日々のなかでのことだ。自意識を異常なスピードで身に付着させていかなくてはいけない、みたいになっているあの日々に於いて。目まぐるしい移ろいに、抗えずに。身を任せながら、不本意にも身体を起こして、またあの建物に。足を運ばなくてはいけない、みたいになっているあの日々に於いて。空想のみが、ぼくの居場所だった。だから同時に言えるのは、ほかに、ぼくの。居場所なんてない。どこにいたって、ぼくは。よそ者なのだ。ということだった。そんな、どこにいたって、ぼくは。よそ者なのだ。という説は、ずっと体内に根強く蔓延っていて。『あ、ストレンジャー』では、その蔓延りについて、どう解放させていくか。ってなことを、真面目に検証している。そしてマームとジプシーに纏わりつくものを。どうやって、ほどいて。マームとジプシーが持つ、本来の体温を確かめることができる作品でもある。だから総じて、またこの作品に向かい合うことができたのは、幸せであり。自分は作品で、作品とは空想で。あの頃から寄り添っている空想であって。この空想のみと、ぼくは生涯。付き合っていく。それを確認することができた。世界と訣別するためには、最後は自分を撃つしかないかもしれない、ということに結びつくのは、たぶんそういうことだ。自分を撃つ、その日まで。つくり続けたいと。再確認している、一月の始まり。今年も始まったね。

藤田貴大

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出演

青柳いづみ 石井亮介 荻原 綾
尾野島慎太朗 高山玲子

スタッフ

原案/アルベールカミュ「異邦人」
作・演出/藤田貴大


舞台監督/森山香緒梨 加藤 唯
照明/吉成陽子 富山貴之
照明オペレーター/[東京公演]山岡茉友子
横浜公演]西本桃子
音響/角田里枝
美術協力/細川浩伸
映像/召田実子
音楽提供/大谷能生
衣装協力/高橋 愛(suzuki takayuki)
記録写真/[東京公演]飯田浩一
宣伝美術/本橋若子
翻訳/横堀応彦
通訳/砂川史緒
制作/林 香菜
共催/[東京公演](公財)武蔵野文化事業
横浜公演にぎわい座
助成/公益財団法人アサヒグループ芸術文化財団
芸術文化振興基金助成事業
主催/マームとジプシー[福島公演]I-Play Fes実行委員会

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