2026/04/14
ちょっと、マームとジプシーの事務所が今、“叩き場”になってて。“叩き場”っていうのは演劇用語で、舞台美術をつくる場所のことなんだけど。ここ最近はずっと、105枚の段ボールを切り出す、って作業を事務所でやってたんだよ。最初は事務所にあったきれいな段ボールを切り出してたんだけど、それじゃ圧倒的に足りなくて。ただ、その量の段ボールを買うと、7000円とか8000円になってしまう。そこでまず、話し合いになったよね。その段ボールを買うってことが、自分たちのやりたかったことなのか、って。

段ボールって、昔は落ちてるものだったじゃない? 捨てられてるものだし、拾うものだったよね。それを買うのが嫌で、池袋のサンシャイン通りを探しまわることにしたんだよ。そこで――とりあえず、飲食店のやつはやめようってことにして。キャベツとか、そういうのが入ってたやつはやめよう、って。ただ、今は引き取る業者さんが決まってるらしくて、段ボールをもらうってことが難しくなってるんだよ。どうしようかなって思ってたら、駅の近くにあるスーツケース屋さんが「ああ、持ってっていいですよ」って快く言ってくれて、どうにか無料で手に入れられたんだけど。

それで――段ボールで何をやりたいかっていうと、巨大な家をつくりたくて。そう、家。ちょっと想像している家とは違うかもしれないけど、この2週間、ほんとにそのことばっか考えてた。家っていうより、プラネタリウムみたいな感じなんだけど、それが灯台みたいに見えてもいいなと思ってる。
いや、これ、数年前からやりたかったことでもあるんだよ。『てんとてんを、むすぶせん。からなる、立体。 そのなかに、つまっている、いくつもの。 ことなった、世界。および、ひかりについて。』でも、舞台上にテントを立ててるけど、8年くらい前にノースフェイスが「ジオドーム4」っていうテントを発売したんだよ。それもドーム状になっていて――いや、これよりはだいぶ簡略化された形になってるんだけど――最初はそれを買いたいと思ってたんだよね。ただ、それは18万とかするから、ちょっと買えないな、って。

でも、気になって調べていくうちに、「これ、つくれるじゃん」って気づいたんだよ。どうすれば球に近い多面体がつくれるか、その比率を計算した数学者がいて、それをもとにプラネタリウムがつくられたり、サッカーボールがつくられたりしてるらしくて。サッカーボールも、五角形と六角形からできてるんだけど、この模型も五角形と六角形からできてるんだよ。そのために、この105枚の三角形を切り出したわけ。これを組み合わせて、五角形と六角形をつくる、っていう。

この段ボールでつくった家が、開場中の舞台に建ってるんだよ。計算的には、高さが2メートルぐらいになるはずなんだけど。これが舞台上に建ってたら、爆上がりする気がするんだけど――どうだろう? しかも、美術さんにつくってもらうわけじゃないからね。これが舞台上に建ってるところから始まって、「dusk」の章を通して解体されていく。立体だったものが、平面の二等辺三角形に畳まれていく。
(写真・構成 橋本倫史)
公演詳細・ご予約はこちらより
「dusk dark dawn」
作・演出:藤田貴大
出演:髙宮梢 仲宗根葵 中村未来 成田亜佑美
日程:2026年5月2日(土)〜6日(水)
会場:LUMINE0(最寄り駅:新宿駅)
〒151-0051 東京都渋谷区千駄ケ谷5-24-55 NEWoMan Shinjuku 5F