mum&gypsy

dusk dark dawn

VOL.8.5

2026/04/28

身体の動きに関して言うと、今回はフィックスが難しくて。特に「dark」に関しては、演劇ほど「これだ!」って言えないんだよね。そういう言い方で伝えてしまうと、その言葉が皆の中で永遠になってしまう。「藤田さんがそう言ったってことは、今のを崩しちゃ駄目なんだな」みたいに思ってほしくないんだよ。だから、どう関わればいいのか、まだちょっと悩んでる。

ただ、この3人っていうのは、とにかく眠れない3人で。

でも――これも難しいんだよな。ここで「もっと『眠れない』って演技をしろ」というような伝わり方になってしまうと、ダンスとしてのクオリティーが落ちちゃう気もするんだけど、「どうしても眠れない」って感じをやっぱり増やしてほしい。

眠れないことを演じるっていうより――そこに「寝よう」って気持ちがあったほうがいいと思う。寝ようとしてるのに、寝れない。今の感じだと、そのまま眠れそうにも見えてしまう。寝ようとして、ぼーっとするんだけど、寝れなくてまた次のコンポジションに移行する。だから、今の動きの2倍遅くていいと思う。なんかこう、ぬめっとしてる感じというか――。

だから、起き上がりかたかもしれない。今の感じだと、頭の重さを感じないんだよ。

自分の話をすると、小さい頃からずっと、寝ようとしても全然寝れないことが多かったんだよね。そういうときって、頭が重い感じがする。目の奥あたりに、ドス黒い何かが溜まってる感じがする、というか。つげ義春の漫画じゃないけど、眉間の上あたりの額に蛇口をつけて、溜まっているものをどぶどぶどぶって出したくなる。そういう感覚が小さい頃からあったんだよね。

あと、自律神経がちょっと弱いからっていうのもあるんだけど、肩甲骨と肩甲骨の間が「ううー!」ってなる感じ。寝ようとしてるのに、そこがむずむずしてきて、起き上がる。一人暮らしの部屋で、冷蔵庫に行って水を飲んで、戻ってくる。それでまた寝ようとして、一回停止するんだけど、また同じことを繰り返す。これ、どう伝えればいいんだろう――。もうちょっと、それぞれ、自分なりのシチュエーションがあってもいいのかもしれない。

上田での作業(『線に宿る 点を巡る 夜を歩く』)のとき、本番ギリギリまで言い続けてたのは、重点を意識してほしいってことだったんだよね。あの作品でも、“こじこじ”(髙宮梢)がただ寝返りを打つ時間があったけど、重点が感じられるときがあって。身体の中にある重点が、こっちに行こうとするんだけど――ギリギリでそっちに行けなかった、っていう。それって、ただ身体がスンと動いてるのとは全然違って見えるんだよね。

そう考えると、今はちょっと、身体全体で動きに行ってるから、眠そうに見えないのかも。たとえばそれが肘でもいいし、腰でもいいんだけど、どこかに重点をつくる。こうやって立ちあがろうとするんだけど、肘に重点があってそこが重いから、崩れて次のコンポジションに行く。眠れないときって、そういう重点が身体の中にある気がするんだよね。

(写真・構成 橋本倫史)


公演詳細・ご予約はこちらより

「dusk dark dawn」

作・演出:藤田貴大
出演:髙宮梢 仲宗根葵 中村未来 成田亜佑美

日程:2026年5月2日(土)〜6日(水)

会場:LUMINE0(最寄り駅:新宿駅)
〒151-0051 東京都渋谷区千駄ケ谷5-24-55 NEWoMan Shinjuku 5F

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